サルガド: コーヒー生産農家へのトリビュート

illyは、4大陸でコーヒーを栽培する人々との間に長きにわたる絆を築いてきたことに対して、格別大きな誇りを抱いています。それは相手に対する敬意、共通の目標の追求、共存共栄の精神から生まれたものです。コーヒーとは旅であり、生産農家はコーヒーの国々、受け継がれた資産、地域社会や文化のスチュワードなのです。
コーヒー生産農家の物語りは、他に比べるものの無い持続可能性の物語です。そしてそれは、著名な社会派フォトグラファー、セバスチャオ・サルガドの美しいレンズを通じて、illyが世界と共有した物語です。「セバスチャオ・サルガド x illy」は、ブラジル、インド、エチオピア、グアテマラ、コロンビア、中国、エルサルバドル、コスタリカたどり、コーヒー文化のルーツを探る写真の旅です。心に響くサルガドの写真からは、生産農家にとって、コーヒーの栽培、収穫、乾燥、選別作業が、単なる仕事ではなく、歴史や誇りに深く根ざした儀式であることが伝わってきます。
ほぼ10年におよぶこのプロジェクトに取り組むにあたり、サルガドには異例ともいえるほど理想的な条件が整っていました。1944年、ブラジルの代表的なコーヒー生産地域であるミナスジェライスに生まれたサルガドは、国際コーヒー機関に経済学者として勤務しました。しかし、サルガドにとって写真は、単なる趣味を超えて天職となりました。1973年、サルガドが最初に行った仕事は、南米やアフリカの貧しい人々や移民労働者のドキュメント写真の撮影でした。
サルガドとのコラボレーションは、持続可能な発展に対する長年にわたるillyの取り組み、現地の文化への敬意、コーヒーを育てる大地への愛情に対して、鮮明な光を投げかけるものです。生産農家との継続的な協力関係からは、敬意、フェアトレード、成長を特色とするきずなが生まれ、品質のたゆみない向上こそが生活の向上をもたらす力となるという相互理解が築かれました。

コスタリカ
2014年

セントラルバレーにあるサンイシドロ・アラネラから、タラズ地区の西バレーにあるジャノ・ボニートへサルガドは旅をした。
ここで育つコーヒーは、重要な生物の多様性を保護したり土地の保全に寄与する水資源を無駄に使用しないため、
サステナビリティに対する注目が集まっていることで有名です。
コスタリカで生まれるコーヒーは、酸味、甘み、ボディ、苦味が完璧にコンビネーションし、トースト、オレンジ、はちみつ、バニラのような
繊細でかすかな風味によって引き立てられるチョコレートやキャラメルの個性的で際立った風味が特徴です。

エル・サルバドル
2014年

2014年、エル・サルバドルがセバスチャン・サルガドのコーヒー大地の歴史、伝承、展望をめぐる最初の土地であった。
サルガドは国中をめぐり、アパネカ山地に位置するサンビセンテ、アタコ、サンターナ、サンタテクラの農場、アパネカ山あたりを回った。
彼は、これらの農園で採れる貴重な豆や母なる木々の木陰で収穫している、高品質の豆を生み出す人々を描いた。
太平洋から流れる風の影響を受け、火山の麓で育ったこのコーヒーは、繊細なアロマとオレンジのような甘味を兼ね備えた特徴を有する。

中国
2012年

中国は2012年の初期に訪れた最後の国だった。
中国の遥か南西に位置しているの雲南省の、特にパオシャンとスーマオと言う地方に、サルガドはカメラの焦点を合わせた。スーマオは特にプーアール茶の生産地として知られている。
これらのエリアで生産されるコーヒーには、ミディアム・ストロングのボディー感があり、フルーティーなトップ・ノートが伴ったカラメル風味の特徴がある。
サルガドの写真は、田園景観の気絶するほどの美しいさを表現しており、そこでは人間たちは礼儀正しく控えめな存在として表されている。
サルガドが中国で撮影したの作品集は、2012年10月に北京にて開催された「ガッレリア・イリー（Galleria illy）」にて初めて一般公開された。

コロンビア
2007年

「イン・プリンチピオ」の最後の目的地は、世界第2位のウォッシュド・アラビカ豆の生産地域でした。この地域は小さな農園が多く、65万を超える生産農家が暮らしています。南部のサン・アグスティンから僻村ピタリートまで旅したサルガドは、コロンビア豆の誕生伝説が語られているサンタンデール県を訪ねました。サンタ・マルタ、シエラネバダ山脈、プエブロ・ベッロ・ガマケの陽気な喧噪にあふれた市場にレンズを向けました。
この最終ステージの成果を発表する最初のビューイングは、過去の全ステージの回顧と合わせて、illy創業75周年記念セレモニーの席上で行われました。開催場所は、国際的写真の殿堂と称されるベルリンの「視覚的対話のためのインターナショナル・フォーラム」です。

グアテマラ
2006年

旅の次なる目的地は、景観の変化が輝かしいほどにきわだつ国でした。生産地域ごとに異なるコーヒーの特性も、そうした景観の違いから生まれたものです。チョコレートの力強い香りは、グアテマラのコーヒー生産全体を貫く共通の糸です。アンティグアのアティトラン湖とその周囲の地域を映し出したサルガドのカメラは、他に類を見ないすばらしい景観を背景に、アラビカ豆の生育、収穫、加工の様子を捉えます。このステージの最終版のプレビューは、2006年にミラノのGalleria illyで行われました。

ブラジル
2002年

旅の最初の停泊地として選ばれたのは、世界第1位のコーヒー生産国であり、第1回illyアワード・フォー・クオリティー・コーヒーの受賞国でした。illyとの間には、今や20年におよぶ関係が築かれています。ミナスジェライス州のゾーナ・ダ・マタから、エスピリトサント州にいたるまで、サルガドの最初の映像は、生豆の収穫の儀式を映し出し、大地の美しさやそこで働く農夫たちの威厳あふれる姿を捉えます。2003年には、ローマのオーディトリアム音楽公園で最初のパブリックビューイングが行われました。

エチオピア
2004～2005年

コーヒー発祥の地は、「イン・プリンチピオ」の第3の故郷となりました。同時に、ここは世界で最も貧しい国の1つであり、アラビカ豆の最大の生産国の1つでもあります。この地でサルガドは、おそらく世界最高の品質のアラビカ豆が育つ地域であるイルガチェッフェにレンズを向けました。映像は2005年、トリノのリンゴットでワールドプレミア上映会が行われました。

インド
2003年

サルガドは南インドのカルナータカ州を旅しました。この州のアラビカ豆のプランテーションからは、深いコクがあり、軽くて心地よい苦味があるillyブレンドが生まれます。映像は（トロピカルフルーツ、ナツメグ、胡椒、カルダモンの高木が作り出す自然の木陰に囲まれた）コーヒー農園や、豆が貯蔵される大きなインドアエリアを捉え、この州の農園に流れる日常生活のリズムを追います。魅力的なモノクロの映像は、2004年、パリのシャペル・ド・ユマニテで初めて公開されました。