マントヴァの「文学フェスティバル」
この10年間、illyはマントヴァの「文学フェスティバル」への後援活動を通じて、世界中の最も有望な若手作家たちにスポットライトを当ててきました。毎年、このプロジェクトのハイライトとなるのがillystoriesです。これは、この傑出した国際的文学フェスティバルの一環である若手作家イベントの参加者が書き上げた作品を集めた作品集です。このプロジェクトではさらに、ヘイオンワイ(ウェールズ)とベルリンの姉妹フェスティバルでの作品を集めて、1つの共通テーマをもった作品集としてまとめています。
illystoriesの小冊子は、illyコーヒーのバールやカフェで無料配布されており、来店客へのささやかな贈り物として喜ばれています。変化、多様性、未来、さらにはモンスターまで、テーマは想像力のおよぶ限りなんでもありですが、作品はすべて、約束、喜び、現代生活の不安を表現するものとして統一されています。
2005年以降、illywords には毎号、ベテラン作家からも作品が寄せられています。彼らは新しい才能の支援や、パブリックスペースでの文学文化の普及に対しても積極的に協力しています。そうした公共空間の中でも、社会的交流の拠点としてひときわ重要な役割を果たすのが、カフェバーの存在です。
プロジェクトでは、作家たちにオリジナル短篇の寄稿を依頼しています。そうした短篇に求められるのは、喚起力に富む文章、スピード感があり、パワフルで、ムードがあり、五感を刺激する文章、憩いのひとときに喜びと意味を与えるような文章です。
姉妹誌である文芸誌illywordsや、その他のillyの文化プロジェクトと同様に、illystoriesにおいても、若手アーティストたちが重要な役割を果たしており、各ストーリーにオリジナルのイラストを組み合わせることで、書かれた言葉のイメージをゆたかにふくらませています。このプロジェクトの参加校としては、ニューヨーク市のパーソンズ美術大学、パリの国立高等美術学校、バルセロナのデザイン美術学校が名を連ねています。
2002年、illystoriesの第1集が刊行されました。文学界の新しい声を集めたこの小さな本は、illyのコーヒーが楽しめるカフェバーやおしゃれなスペースで配布されました。
その3年後、ベテラン作家の作品を収めたillystoriesの第1集が刊行されました。「旅」と題されたこの巻には、ジュゼッペ・チェデルナ、サンドラ・シスネロス、マルチェッロ・フォイス、ダーチャ・マライーニ、コラム・マッキャンらが作品を寄せました。発行部数が50万部に達した第2集「コーヒーの中に」には、ヴィンチェンツォ・チェラーミ、マウロ・コヴァチッチ、アルダシル・ヴァキル、ビョルン・ラーソンらのストーリーが収められました。「表現」をテーマとした次の作品集には。ジャンリーコ・カロフィーリオ、パノス・カルネジス、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ、ラウル・モンタナーリが寄稿者に名を連ねています。