illyが長きにわたるアートとの深い関わりをもつようになったきっかけは、2003年、世界で最も傑出した文化イベントの1つ、ヴェネツィア・ビエンナーレの後援企業になったことです。以来、illyは毎回、ビエンナーレに参加してきました。ますます挑発性を強めているビエンナーレの展覧会ですが、その展示スペースもしばしば、視覚的インパクトのあるフォルムによって来場者の精神を刺激しています。そうしたなかで、illyはリラックスと思索のためのillymindスペースを提供しています。それは美しいコーヒータイムがもたらすくつろぎに似ています。 ビエンナーレでは、有名なアーティスト、デザイナー、その他の文化人たちの協力のもとで、毎回かもしだされる雰囲気と調和する形で、illymindのスペースが設営されます。
第55回 インターナショナル・アート・エキジビジョンにおいて、コーヒー文化の中心的な役割を担う目的でイリーが選ばれました。博覧会の組織運営委員会によって、コーヒーに関するテーマ・パビリオン全体の幹事会社に選ばれたイリーは、ミラノにおいて「EXPO 2015」が開催されるまでの約2年間、芸術的思考の公式飲料であるコーヒーによって、ヴェニスのアートフェスティバルと世界的なエキジビジョンとを結ぶ懸け橋を構築してゆきます。
アニシュ・カプーアとの共同作業の1年でした。ヴェニスのサンジョルジョ・マジョーレ教会の、威厳ある袖廊および本堂の交差部にある円形基部から発せられた白い煙の渦の描写です。54回目となるヴェニス・ビエンナーレ展に付随するイベントにおいて、アーティストによって創造された特殊な一部であり、「Ascension (上昇)」と名付けられました。 このイベントを記念して、同じ名前の限定版イリー・アートコレクションも公開されました。
2009年――ダニエル・バーンバウムは、「世界を作る」というテーマにインスパイアされたillymindプロジェクトを監修しました。その一方で、illyはトビアス・レーベルガーがデザインしたilly Art Collectionを発表しました。トビアス・レーベルガーは、ビエンナーレ・ガーデン内に新しいバールとレストラン・スペースを設計したアーティストでもあります。彼のテーマはカモフラージュです。エスプレッソのカップは文字どおり、カフェバーの内部に消えてしまったように見えます。ベヴィラックァ・ラ・マーザ財団とのパートナーシップのもとで、illyはオノ・ヨーコに捧げた展覧会「アントンの記憶」のPRを行いました。オノ・ヨーコは、2009年のヴェネツィア・ビエンナーレにおいて、生涯業績部門の金獅子賞を受賞しました。
2007年――illySustainArtプログラムは、先鋭的なアーティストで建築家のアダム・カルキンが手がけたillymindプロジェクトである「プッシュボタン・ハウス」に協力しました。このプロジェクトは、より持続可能性の高い住環境を考えてみるように私たちに課題を投げかけています。ボタンに触れるだけで、船荷用コンテナが花のように開き、キッチン、リビング、寝室その他、ファニチャーを完備したスペースが現れます。展覧会のテーマは「五感で考えよ――心で感じよ」。これに連動する形で、illywordsが特集号を組みました。
2006年――illymindは、ヴェネツィア・ビエンナーレの国際建築展に初めてパートナーとして参加しました。ビエンナーレの総合テーマに合わせて設計されたillymindプロジェクトは、マントヴァとウェブカメラでダイレクトにつながり、illyは同時に、マントヴァで開かれた大型の文学イベントである「文学フェスティバル」にも参加しています。つまり、2つの都市で、2つの重要な文化的イベントが、1つの刺激的アイデアのもとで開催されたのです。
2005年――2003年の最初の参加の際に行われた研究をもとに、illymindは、広がりつつあるヴェネツィア・ビエンナーレを通じて、再生と思索の問題に取り組みました。その結果、製作されたのが、1,500脚のillychairです。肩紐とライティングスペースの付いたこのチェアは赤くて軽量、完全に持ち運びが可能です。実際、この椅子のおかげで、ビエンナーレ全体が1つのillymindのスペースとなりました。アメリカ人デザイナー、アンドレア・ブラムがデザインを手がけた、特別なillymindコンパニオンスペースである、「ガーデンズ&ファウンテンズ」インスタレーションは、社会的な相互作用のための美しく、かつ刺激的な背景を提供しました。
2003年――「夢と葛藤: 見る者の独裁的支配」。3つの異なるスペース合わせて500平方メートルの広さの中に展開された初めてのillymindプロジェクトは、アルテミスとモローゾの支援のもとで作り出されました。「展覧会の理想的パラダイム」をテーマに、カ・フォスカリ大学との共同研究も行われました。